FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN

           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

================================================================

    ★第184号       ’03−10−03★

================================================================

 

 

************************************

     築40年(2)

************************************

 

 

●些かの覚悟で何かしたあと、

 

「あれは良かった!」と本気で言えるとしたら幸せ。 「我事において

後悔せず」、孤高宮本武蔵が崇拝されるのは、そう言い切れる人が多く

ないことの証明。 あいにく私も多数派ですが、基本的には

 

しなくても良いこと、しない方が良いこと、は頼まれてもしない、主義。

従って後悔は少ない方、ではあるが反省は人一倍。 そんなことせずに

済ませられたのではないか、もっと良いやり方があったのではないか、、

 

など考えてしまい、素直に「良かった!」が言えない。 損な性分ねえ、

と女房。 しかし今回の敷地周壁工事は<すべきこと>、そして始まる

や「良かった!」の連発、幸せでした。

 

 

何せ文字通りの土木作業、素人は見守るしか無い、、が、すぐ気付いた

のは、それが甚だ贅沢な楽しみだということ。 <匠>たちの技を間近

で観察し、何かと質問するのは施主の特権ですからな。

 

「商売、道によって」の<賢さ>を存分に発揮しつつ、9月連日<本年

最高気温>の異常炎天下、男たちがたじろがず営々黙々、あるべき姿を

目指して邁進。 おお、これぞ問題解決の基本姿勢!

 

とは言え、ガッチリ固まっていたものをバラすのだから、やはり大仕事、

素人の手には負えない。 これを<先送り>していたら、子孫にはさぞ

迷惑。 自分の代で始末、と決めて本当に「良かった!」、、

    (構造改革が進まないのも分かりますが、やはり今こそ、、)

 

*   *

 

手始めは壁を緩ませた元凶、そして工事の障害でもあるカイズカの撤去。

高さ約2.5m、枝の張り内外各1m以上、特に外向きの枝はフェンス

を貫いて不動のスクラム。 どう始末するんだろ?

 

は素人の浅はかさ。 玄人はためらわず枝をかき分け、腕を差し込むや

当たるを幸い細身の鋸、幹の付け根で切り離す。 他方の手はその枝の

先を掴んでおり、そのままフェンス越し、そこに停めたトラックの荷台

へ放り投げる。

 

待ち受ける相方はチェーン・ソー片手。 湾曲した長い枝を細分しては

踏み付け、積載密度を高める。 なるほどねえ、、 感に堪えていたら、

北西数軒先のマンション上階から「ウルサイ!」▼

 

  ▼実は私には聞こえなかった。 が、<玄人>は鋭敏、または予期

   していたのかも。 これが今回の工事で頂いた唯一のお叱り。

 

声が降って来た。 その地上階に住む大家さんには挨拶しておいたのだ

が、周知徹底不十分? しかし荷台係、<ヤ>的風貌に似ず文字通りの

gentleman。 ニッコリ即、手鋸使用に変更。 む、PPAしてたな?

 

  やがて作業が進んで南側に回り、お叱りのマンションが音の死角に

  入るやチェーン・ソウ復活。 双方の WANT を満たす柔軟対応。

 

ムリせず枝1本ずつの各個撃破、だからフェンスと絡まっていても苦に

ならぬ。 Xmasツリーにするわけじゃない、木<片>にしちゃえば、、

 

  さながら<状況分析:SA>の極意そのまま。 積年<先送り>で

  ダンゴ化した問題群を処理するには? もちろん<分離・分解>!

 

かくて天辺を残したカイズカ並木?は、傘状<ローマの松>風ユニーク。

些か惜しい眺め、だったがそれも束の間。 その幹を上から順、数個に

分断、懐かしい緑のコンモリはアレヨの間に失せ果てました。

 

  樹木にも霊は宿ると言う。 その夜はやや感傷に浸り、墓標同然の

  切り株たちに御神酒を注いで弔ったり。 

 

*   *   *

 

事前、ご近所にお断わりした時、なぜ?、もったいない、など惜しまれ、

我がカイズカが結構愛されていたこと、時に体のアチコチ痛めながらも

丹精していたのがムダではなかったこと、が分かって、「良かった」。

 

また事後、ご町内かなり離れたところからも「伐っちゃったんですね」、

お叱りのような声がかかって来たり、緑の囲いの中で遊んだ思い出まで

語られたり。 時ならぬコミュニケーションが楽しめて、「良かった」。

 

*   *   *   *

 

「お宅のは未だ<良かった>んですよ、裾が上がっていたから、、」は

植木屋さんの話。 彼の得意先<有名人>、やはりカイズカ生け垣だが、

最下段の枝が地面に接した樹形がお好み。 困るのは、その<地面>が

公道であること。

 

路面工事でアスファルトを敷く時、高熱で枝が焼ける。 それに対する

<有名人>の抗議は凄まじく、工事業者は困って植木屋さんに枝の養生

を要請してくる由。  え? 公道に張り出す方が悪いんじゃ?

 

いや、根が敷地内、だから権利は<有名人>に、、だそうで。 法律も

オカシイが、そんな<公共>の認識に欠けた人が<有名>だというのも

オカシイ。 当家のも、張り出してしまった枝が詰められず、気にして

いたのだが、それもこのたび解消できて「良かった」。

 

**********

 

 

●伐採が終わるや、忽然

 

トラック数台のチームが出現。 ミニ・パワーショベルを下ろし、まず

40年物?の針金フェンスを僅か40分?で撤去。 引き続き大谷石の

相当部分を取り除き、我が家アッサリ丸裸。

 

工事中は仮囲いを、と言ってたが、間に合うのかな? 心配無用でした。

何となく人手が増え、鉄パイプ枠が組まれ、シートが張られ、、 陽が

落ちる前に<目隠し>完成。 しかも、

 

どう運び入れたのか、外側にいたミニ・ショベルがいつの間にか、庭に

据えられているという手際の良さ。 カメラ持って随時見回っていた▼

んですがねえ、、 どこ見てたんだ、私は?!

 

 ▼撮った画を調べて知ったが、この日の作業に無関係のタイル屋さん

  まで仮囲い組立てにに加わっていた。 察するに初日は総力戦、、

 

ここぞ、の場面には動員できる者すべてを集中的に投入、、とは<ラン

チェスター法則>風。 タイミング絶妙なメンバーの<入れ替わり>や

<集中>を可能にする武器は、どうやらケータイ▲。

 

 ▲沈思黙考の邪魔、かつて持ちたいと私は思ったことが無い。 だが

  作業現場が散在し、必ずしも台本通りに進行すると限らぬ土木作業。

  各職種が個別に機能しつつ精緻な連携を果たすには、、 不可欠。

 

 

ブロック積み方式にしたのも「良かった」。 コンクリ式と較べ、費用

割安、強度同等、外観は適度に装飾的。 ところが積む人は大変、見て

いて申し訳ない気分。 ほかにブロックを運ぶ人、渡す人、計3人作業。

 

モルタルでつなぎながら水平垂直、乱れなく積み上げるには相当の熟練

を要する。 段差や曲がり角、継ぎ目のブロックは半端寸法、その現物

合わせ切断作業では凄まじい粉塵発生、、 いやはや、容易でない。

 

しかも、要所縦横に鉄筋を走らせ結び合わせ、最後コンクリを流し込む

ところは両方式共通。 なら<型枠に流し込むだけの方式>の方が安く

上がりそうなものだが、、 釈然としない。 そして 

 

3日目、ブロックがすべて積み上がり、散乱していた工具や残材を一掃、、

したと見えた次の瞬間コンクリ・ミキサー車がノッソリ現われ、分秒の

ロスも無く流し込みが始まった。 何たる<精緻な連携>! 動作研究、

時間研究で鍛えた<工業経営科>も脱帽。

 

*   *

 

話の順が逆になりましたが、ブロック積みの前に、厚さ約20cm、幅

約1mのコンクリ基礎を埋設(擁壁L字型断面の底辺)するため、敷地

周縁全長にわたり、幅1mの土を取り除かなくてはならず、それを庭に

積み上げさせて欲しいと言う。

 

  うーむ、芝が、、  いや、ショベルが入るので、どのみち芝は、、

  仕方ない、この際張り替え、覚悟しましょ。 実はこれまでの姫芝、

  華奢で面倒見が大変だった。 いっそ高麗芝にでもするか、、

 

壁の<基準>が昔より遙かに厳しくなってるんですな。 この<基礎>

自体の重さと、それを覆う土の重さで倒壊を防ぐ。 封じ込める鉄筋も、

以前は<もっと細く表面はノッペリ、もっとまばら>だったが、、の由。

 

較べて大谷石の壁は石の自重だけでの土留め、思えば危なっかしいもの

でした。 類推思考、「長らくこうして来て全く問題は無かった。 が、

<今の基準>で見直すと、、 こりゃまずいね」てなことはそこら中に

ある、んじゃありませんか? また、それを

 

改めよう、と手を付けたら芋蔓式、あれこれゾロゾロ、、 てなことも

よくある。 さて、どうする? えい、もののついでだ、やっちまえ!

 

そして<ついで>は芝だけじゃなかった、、

 

**********

 

 

●何せ40年、その間に

 

上水道、下水道、次々直結化され、それに伴って貯水槽や浄化槽、当初

の設備を取り壊してはパッチ当て。 で、アチコチ凸凹になっていた。

しかも玄関先、所によって水捌け不良、、 体裁が宜しくない、

 

この際それも直そう、と我が女房。 階段には<滑り止めのタイル>も

貼りたい、と。 争って勝ち目は無いし、勝ってもウラミを残してでは

老い先が暗くなる。 じゃ、良かろう、、  そうして「良かった!」。

 

 

たとえば階段。 タイル屋さんが変なことを始めたので、訊くと、寸法

が不揃いなので直してから、と言う。 引き直した勾配基準線に合わせ、

踏み代を継ぎ足す。 今までモルタル無地で見えにくかったが、タイル

を貼るとなると、方眼が不揃いでは見苦しい、やはり直さなくちゃねえ。

 

またこれまで雨樋の水が階段の裾に落ちていたのを、それじゃタイルが

汚れてしまう、と完璧主義の彼は許さない。 了解。 じゃ、雨樋も、、

 

で、仕上がった中間色2トーンの階段、「こりゃ上り下りが楽しいね」、

<とても良い家>に誘い込まれる感じ。 全くちょっとしたことが気分

を一変させるものですな、、

 

しかし笑ってしまう。 いよいよ建て替えか、と思った人もいたくらい

なのに、今さら外回りを飾り直すんだからなあ。 つまり、我々ここに

住み続けるぞ!の意思表示なのさ、これは、、

 

そしてもっと笑ったのは、こんな<目に見える>変化にも気付かない人

がいた、という事実。  え? 変わった? 以前、どうでしたっけ?

どこかにも書きましたが、ダメな人は言って上げてもダメ。 その一例。

 

*   *

 

併せて<水捌け>も良くなった。 で、掃除もマメになったから面白い。

汚すのは、縁の下を運動場にしている我が愛犬。 体に着けて来た泥を

玄関先で震い落とす。 それはホースの水で洗い流せば良いのだが、

 

水が残ってビショビショするので、今まではつい、、でした。 それが

打って変わってイソイソ。 ほーら、やはりやって良かったでしょ、と

女房。 おいおい、本当はこれ、キミの守備範囲なんだぜ、、

 

よくあることですが、些末な(物理的)要素が大きな(心理的行動的)

向上改善を阻む。 また、直接カネで人の心や行動を改めさせることは

難しいが、僅かな投資で周辺の要素を変えてやると、、 ほれご覧、、

 

サーモ屋時代よく用いた手でしたが、それを我が身で認識し直すことに

なる、とは予期しませんでした。 今回いくつかの<ついで>、どれも

やって「良かった!」。

 

*********

 

 

●というわけで、

 

暑く埃っぽい1ヶ月余、いくつもの「良かった!」を味わうことが出来、

幸せでした。 工事に携わった人々の人柄の良さにも惚れました、特に

<社長>には。 彼のプロデュース感覚、マネジメント能力、CS努力、

すべてに惚れました。 それを書くだけでも1回分、、

 

だが、私の問題を解決してくれた良き人々が、実はそれぞれ深い悩みを

抱えていることも知って、心が痛みました。 何せ3K、5K、加えて

業界構造や市場ニーズ、環境の大変化、、

 

もちろん現象は職種、職位によって一様でないが、どれも容易ではなく、

その苦労している人たちが私を<幸せ>にしてくれる、、 申し訳ない。

 

 

そしてフイと浮かんだのは、「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を

作る人」。 普通は境遇の違いを説く言葉ですが、これは問題解決の姿

の描写でもありますね。 自分の問題だから自分で解決する? いいえ。

 

たいてい誰かの力を借りて解決しているんですよね。 逆に、どれほど

悩みを背負っていても、誰かの問題解決を助けることは出来る。 それ

が人生、相身互い、巡り巡って、、 という解釈。

 

遙か思い起こせば、サーモ屋の経験もそれでしたな。 お客様に喜んで

頂けたのは光栄でしたが、サーモ作りはそりゃあ大変な苦労でしたから。

 

何とかやって来られたのは、仕事場の一致協力とツキのお陰。 <一致

協力>できたのも<ツキ>があったからかも、、 こりゃ、ツキに感謝

しなくちゃいけない、、というのが<築40年>の悟り、のようですね。

                          ■竹島元一■

    ■今週の<私の写真集から>は ★光の側、影の側★

================================================================

FNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFNFN

                       ■ホームページへ戻る